2007年10月05日

■水面下

本日6年生との理科の実験。
「水溶液の性質」の単元も終末になってきた。塩酸や水酸化ナトリウム等の溶液や,リトマス・BTB・フェノールフタレインなど,ごく基本的な指示薬が登場し「化学実験らしい」事ができる単元である。酸性,アルカリ性,中性など溶液の性質による仲間分けでさえ夢中に試行し,意欲的に実験に臨んでいる。酸素や二酸化炭素などの気体発生,ガスバーナーなどの加熱器具による実験や,寒剤の使用など物質の状態変化の実験でもそうだが,ちょっとでも専門的な実験器具を使うと,子供らはいかにも「実験らしい」と感じるらしく「先生,今日の実験はすごかった。」との好評を得る。・・つまり,単なる格好や形式で,なんだかスゴイ実験をしているような錯覚に陥るらしいのだ。そう,はったりね,ハッタリ(笑)

理科離れなんて言われているが,机上で瞬時に物質の変化していく様を確認するだけだって,興味深い事象である。本当は子ども達は理科が好きなのだ。とっても。あと半年も経てば,中学校で分子レベルの化学式を学び,その化学変化の本質が理屈で分かるようになるのだろうが,今のところは表面的な変化を視覚的に確認したり,質量や質的変化を試薬によって判別するに留まっている。ある意味「すげー,でもなんで?」がイリュージョンとあまり変わらない,そんなレベルの動機付けになっているんだろう。彼らの「理科好き」の一因は,観察実験などの体験活動にあるのかもしれない。単純な理由だけど(笑)

「先生,TTでやらせて頂いて本当に良かったです。私一人じゃ薬品を扱えません。。」
本年度はじめて6年を担任している若い彼女が呟いた。本音だろうな。小学校教員はそれでなくても,いろんな分野での教材研究しなくてはいけない。学年を追うほど専門性は増し,歴史も数学も,国語に置いては純文学や古典だってその域に入る。新採3年目に高学年を持った私が,一番苦しんだのはそこだ。方向音痴・運動音痴にもかかわらず,体育も持っていたので,陸上にしてもドッジボール以外ルールも知らない球技種目にしても,目もあてられない指導しかできなかった。若いって言うそれだけで,全教科担当だったのだ(笑)当時の6年生たち・・ごめんね。ってあやまってももう遅いか。

確かに,こんなシンプルで基礎的な実験にもかかわらず,その実験準備には手間がかかる。塩酸や水酸化ナトリウムの規定濃度の調整から,指示薬の調合。発展のための紫キャベツ,例示のため,酸性・アルカリ性の顕著な生活品の準備。炭酸水・二酸化炭素の水溶液,水溶液に溶けるアルミ・鉄等の金属の準備。本当に時間ばっかりかかる。それだけではない。1人1実験なり,グループで何種類ものサンプルを扱う実験なんかして楽しんだのはいいが,劇物にもあたる薬品で金属片の溶解をした後の,途方もない数の試験管の後かたづけがあるのだ。

何年もいろんな学校で理科を担当してきたが,さらにやっかいなのは後始末である。理科室の片隅で,ずーっと,ミョウバン等の結晶づくりのビーカーがそのままだったり,水溶液の中で朽ちてしまった金属片の試験管が放置されていたり,冷蔵庫の中では発芽実験のシャーレがカビの培養状態になっていたり。担任は,次から次へと展開される教育課程の進行を担うだけで手一杯なのだ。

理科や算数のTTという立場だからこそ,今までになく準備や片づけ・教材研究に費やす時間を捻出できる ささやかな幸せ。先ほどの6年担任の彼女にこう続けて答えた。
「あ,私もとってもうれしい。こんな風に自分の仕事を生かしてもらえるって。薬品準備要員,そんな傭兵に徹するから(笑)」

湖面を優雅に滑るように泳ぐ麗しき白鳥。その実,水面下での必死の水掻があってのこと。そんな水面下の水掻きに徹することも,何か素敵に思えた本日だった。おっとぉ,私は定めしガチョウの足か(笑)

ふと,試験問題やら,関東ブロック研修の役の仕事で連日苦心している主人が「11月まで生きていられるかな・・」などと忙殺されんばかりの弱音。彼にしては珍しく深いため息をついていた。なんだかかわいそうになった。。お手伝いしたいところだが,畑が違いすぎて箸にも棒にもかからぬ助っ人だ。どう転んでも,主人の水面下のサポートには潜れないな(笑)

 がんばって・・と虚しく口先だけの応援。こんな風に現場の職員は年々仕事に追われていく。どうにか改善されないかな・・・。
posted by とし at 20:04| ☁| Comment(4) | TrackBack(1) | ■まなび・わーく | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
がちょうの足のとしさん、こんばんは。
・・・すらっとして、という意味ですよね?(笑う)。

さて、旦那様、お疲れのご様子ですが大丈夫ですか?。
としさんも一日中、休み時間もなくあれやこれやお仕事のようで、
小中学校の現場の大変さが見ているように分かります。
いや、もちろん、高校だって大変ですよ!・・・そうでない人もいるけど(ため息)。
教員免許の更新講習の骨子もだんだんと明らかになってきましたが、
理屈は納得できても、超多忙な現場にあっては重荷以外の何物でもなさそう。
いままでの10年目や20年目研修との兼ね合いも?のままのようだし、
現在教壇に立つ教師全員が一斉に講習に臨めるわけではないですから、
順番待ちしている間に定年を迎える方もいるんじゃないかと?。
ん?、管理職は更新講習なし?、なんで???。
ホント、頭が痛いです。

それはそうと旦那様、本当に大丈夫でしょうか?。
弱音は何かのシグナルかも?なんて、まぁ、大丈夫とは思いますが、
せめてお休みの日などには、優しい奥様がお話相手などしてあげてくださいね。
ちなみに今夜も我が家では、
僕はついさっきまで、来週から始まる中間試験の問題作りに頭を悩ませていましたが、
かみさんは下の息子とさっさと布団で寝ています(号泣)。
Posted by せんせい at 2007年10月06日 21:54
■せんせい
どうもありがとうございます。
注:おみ足賛美へのお礼ではありません。<きっぱり

それと,どうも小学校現場での嘆きばかり書いてしまって・・。
そうですよね。どの現場もお忙しい。
この業界ばかりではなく,一般企業にしても
愚弟を見る限りでは,睡眠時間もぎりぎりのところで
飛び回ったり,現場に泊まり込んだり・・。
そうでないといけないのでしょうか。

主人へのご心配ありがとうございました。
ぜーんぜんやさしくない私ですが,色々聞き役。
幸か不幸か,私たち夫婦は同業者です。
どーっと,同じ所に落ち込んだり,狭い了見の話題になってしまったりしてしまう点不幸かもしれないけれど,
少しだけ,相手の大変さを共感できるところは幸な所かもしれません。
でね,すごい快挙なんですが,わたし社会科の試験問題採点をさせて頂ける運びとなりました。
問題を見るだけで,気分不良なのですが・・(本来地歴拒絶体質なので(笑))
うーーーん心配だ・・……(-。-) ボソッ
実は昨年まで,主人が私の分までやってくれたことが度々あったんです。
私が究極めげきってしまってるとき。
なのでガチョウの恩返しで・・おっと
白鳥の恩返しって所です(笑)

せんせいも,試験問題づくりですか?
ご無理なさらず。
そしてね,奥様ずっと家庭を守られているんですよ。
休み時間も何も,位置づけられているわけでなく
「主婦」ってお仕事を一日中。お子さんをちゃんと守ってね。。
Posted by とし@ガチョウ足 at 2007年10月07日 10:36
こんにちは。
うろ覚えで申し訳ないのですけど、理科の実験にTTとは違う、実験補佐役のような人材をつけるみたいな何かの答申だったか、これから実施される予定の制度なのか、ありませんでしたっけ?

そういう人というのはまだ現場にはいないのですか?

それとは別に新聞で見たのですけど、ある地域では地域のボランティア?が実験の準備から授業の補佐から後片付けまでやるところもあるとか。
「実験器具がぴっかぴか」というだけでもやる気が違うとか。。

そういう人がいるとさらに教員の負担が減りますよね。
Posted by junike at 2007年10月07日 20:55
■junikeさん
おはようございます。コメントありがとうございます。
おっしゃるとおり,確かに大学・高校など上位の学校には研究助手のような立場の方がいて,非常に研究を効率的にされている・・そんなところから同じような立場の教員を配置する案は出ております。私もうろ覚えなのですが。

しかし,上の学校からなので順次・暫時位置づけられていくようですので,小学校は最後になるものと思われます。

幸いかな本校は,理科のTTを配置してくれる上司の理解があり,私のような立場で補佐ができるのですが,他ではそうも行かず,理科主任や担任が日々の授業の傍ら慌てて準備に追われているのが現状です。理科専科のいらっしゃる学校は別として・・。

>「実験器具がぴっかぴか」というだけでもやる気が違うとか
その通りだとおもいます。環境は人をつくりますものね。
Posted by とし at 2007年10月08日 09:48
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Weblog: 化学物質いろいろ
Tracked: 2007-10-25 08:39
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