2004年12月09日

■vol.3::太陽が地球を…1::

どうも,ずーっとあっためてました。(笑)
月刊誌の「理科の教育」を購読しているが,
本日(書き始めた時点ね)我がオフィスにも本屋さんから届いた。
ふと何気に「11月号Vol.53」を手に取り,
『理科に生かす科学史』の話題のぞき込み
「成る程、理論追求型と理論依存型の授業があるのねぇ。」
「知的動機付けと科学概念の深め方にも導入するのね。」
…などと,投稿された諸氏の,貴重な実践に感心しながら読み進めた。
更に,ぼぉっとめくると,なんと今更のコラムがあるではないか。

一時期,blogでも一気に話題沸騰だった「太陽が地球を回っている」
小学生の4割…云々の調査概要である。
当の国立天文台 縣 秀彦氏による:::newstopic:::のコラムである。
今までに,散々討議され尽くし,もう辟易・・・の感があり今更であろうが
折角なのでちょっと触れさせていただこう。

tentaian
:::newstopic:::2001年6月〜今年6月全国の8都道府県(14校)
小4から中1,合わせて1692人に,理科図の好き嫌いや
天文の知識について3種類のアンケートを実施。
アンケートの詳細については割愛させて頂くが,選択肢によるもの。

対象:北海道,長野県,福井県,大阪府の計4校348人
 ◆太陽と地球の位置関係の理解
 ・地球は太陽の周りを回っている…56%
 ・太陽は地球の周りを回っている…42%
 ◆人工衛星のように地球を回っている天体は?
 ・月…39% ・火星…27% ・太陽…24%
 *およそ4〜5割の児童が地球中心の宇宙観をもっているだろう

対象:6都道府県の計720人
 ◆月の満ち欠けについて
 ・地球から見て太陽と月の位置関係が変わるから…47%
 ◆日が沈む方位 
 ・西…73%
 *都市部の学校ほど正答率が悪くなる傾向が見られる・日常体験として失われている

2002年施行の現行学習指導要領では,
地上から見た太陽・月・星の動きの観察といった
天動説的な内容しか扱っていないため,地球が丸いことも,
自転していることも,公転していることも小学校理科で習うことがない。
次回の改訂時には,太陽月地球が球体であることや,
その全体像も教えるべきで,地上から見た天体の動きと
宇宙から見た地球の動きの関係にふれるようにすべきであろう。
この調査結果は,日本の理科教育が抱える「日常知と学校知の乖離」
「文脈の欠如」という二大問題の典型的な事例として注目されている。

そして,そのトピックに対するオピニオンが
5人の先生から投げかけられている。
5者,それぞれのお立場からの投稿である。
教育大学の名誉教授・教育学部・市教育委員会・小学校・中学校の先生方である。
それぞれの意見とても興味深く拝見し,
私見的オピニオンのまとめもと思った次第。
 解釈は,全て私見by+Lhaca。曲解もあるかもしれません。

:::Opinion’s:::
1 宇宙時代における時代錯誤的理科教育からの脱却 森先生
2 詳細な調査に基づく徹底した論議を 秦先生
3 子供が考えをつくり,もつ理科の授業    村山先生        
4 天動説でいいではないか      露木先生
5 天文教育を考え直す        星野先生

▼Opinion1
森先生は,「今更驚くに当たらない」という見解からの出だし。
小学校学習指導要領で公転はもとより自転も扱わないから。発展的内容で扱うことも,教科書検定の段階で「指導要領の範囲を逸脱した・・」と教科調査官が認定すれば直ちに削除を求められる。という背景も指摘。

さらに「むしろ以外だったのは,過半数の子が地動説的宇宙観で正しく答えていた点」という。テレビなど他からの情報や,心ある学校教育現場,塾の先生から教わったのだろうとしている。つまり「学校教育と現在では世間の常識とされている内容をの間に乖離のあることが明らかになった」と指摘されている。

しかも「『現在の小学校理科は“身近な自然”を直接体験して問題解決的に学習する』のが本旨だから,小学校で地動説を理解させるのは無理・・との反論もあるが,現在の小学校理科がどれも“身近な自然”を直接体験させるというのは事実と異なる。」と一言。。“調べ活動”も大切だといっている。
「要は今の学習指導要領で扱っている天体現象を,地動説的な見方に慣れさせるだけでよい」「中学校で全部学習させようとするから,中学生が混乱する」
・・・なるほど,森先生は,やはり小学校でも地動説の多少(地球の自転・公転)は
少しでも抵触すべきとのご意見。だから小中高校一貫教育カリキュラム設計を提唱されているのか。

▼Opinion2秦先生は,
「今回の調査は,体系化された自転や公転に対する理解を問う問題にはなっていないので,子どもたちが,単なる言葉としての知識だけを持っているのか,体系化した知識理解をもっているのかは断定できない」と指摘した上で,「理科教育のあり方を検討するのに多くの示唆を与える」次の3点を検討事項に挙げている。

 @「日沈の方位」西が7割にとどまっている。
なるほど,天動説,地動説の如何を問う以前の,事実認識の欠如ですものね・・・
このことは5番目の中学校の先生も挙げてらっしゃるし・・
「日没の方位が正しく答えられないことは,原体験の不足との関連性とともに
 天文学習の内容や進め方,空間認識等の発達段階などとの関連性が考えられる」
・・そうそう。この空間認識ってけっこう大きな問題だと+Lhacaも思う。
小学校3年生で,四方位をきちんと認識し,地図や,太陽の動きの図に
子どもたちは映し出しているのだろうか・・
そのための小学校教育での手だては妥当なものだろうか・・問われるのは現場・・

 A「太陽と地球」の関係
「太陽の周りを地球が回る」の6割・・
小学校4年生の後ずーーーっとブランク,中3で初めて体系的に学ぶ。
「その“6割”のどの程度が体系化されているだろうか」も疑問視。
確かに“6割”をどうとらえるかで,問題の提起の仕方も違ってくるはずだ。
子どもたちが,マスメディアや誌等からの情報,家庭からの知識などの
日常知を獲得し,それが学校知を超えようとしている
・・・というとらえ方もできよう。

 B今後は・・・
「真に21世紀にふさわしい日本の理科教育を提案」するための視点
・最終の到達目標の設定,義務教育終了時に獲得すべき国民的教養の明示
 小中一貫カリキュラムの作成
・自然事象に対する認知,上位面にわたる自動の実態調査
・現行の「集中型カリキュラム」と「スパイラルカリキュラム」を比較研究
 到達度や関心態度の育成の観点から検討
・目的をもった主体的探究活動が保障でき,必要な科学的素養が獲得できる
 適切な学習時間について検討

《中間まとめ(笑)》
お二人に共通すること,小中など,校種を超えたカリキュラム研究の必要性の要望。確かに現行の理科のカリキュラムでは,直接体験から認知の有り様を考えるスパイラル的系統性を,考慮してあるとは思えないカリキュラムである。原子の素粒子論のごとく,とびとびの確率的散らばり方の値である(笑)
小学4年生の後,中学校3年生まで天体学習がなされない・・このことは,天体関係のカリキュラムばかりではない。電磁気に関するカリキュラムに於いてもしかりである。
(・・・ただ今+Lhacaの追究課題でもある。エネルギー概念関係とも絡め,どうしたら,電気・磁気の分野が子どもたちに自然に概念化されるかって
 3学期,授業研究をもつ予定ですもの)

う〜ん,てなころで,まずは第一部,幕。
posted by とし at 22:26| ウィーン ☁| Comment(2) | TrackBack(1) | ■かりきゅらむ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私が小学生の頃、4年か5年生だったと思いますが、理科の授業で、天動説派と地動説派に分かれて議論したことがあります。

クラスがほとんど半分ずつにわかれました。地動説派は「本に書いてある」というような根拠しか述べられないのに対し、天動説派は観察にもとづく根拠を述べ、とても説得力がありました。

高校や大学で、地動説の根拠を学ぶようになり、納得がいきました。(天動説で天体の動きを精密に再現しようとした昔の天文学者の努力に対しても、地動説の根拠を確立した天文学者の努力に対しても敬意をいだくようになりました)

たとえ、本や教科書に書いてあることについても、納得できないことは鵜呑みにしない、という態度を子どもたちには身につけてほしいなと思います。

それは、科学の分野だけでなく、人生においても大切なことだと思います。

「なぜ、そんなことがわかったんですか?」という問いを発する子どもと出会うとうれしいですね。
Posted by ようしろう at 2008年08月08日 16:16
■ようしろうさん
こんにちは。はじめまして。また,コメントもありがとうございました。とても嬉しかったです。

お返事が送れてしまいました。すみません。
実は,8/7〜10まで,ソニーの科学教育研究会
http://www-sec.sony-ef.or.jp/
の東日本大会に出席しておりまして,
ほぼ3日間,睡眠を惜しんでの研修(通称0泊3日研修)(笑)
でしたので,やっとこちらのブログにお返事できる体調になりました。
ちょうど,私が携わった研究グループが,
天文班。新たな学習指導要領のB区分の中の
「地球」に関わる学習内容のグループでした。

コメントから・・
すばらしいですね。4・5年生の頃,すでに天動説地動説についての討論を授業に組まれた理科担当の先生に,私は感服いたします。
さらに,
>たとえ、本や教科書に書いてあることについても、納得できないことは鵜呑みにしない、という態度を子どもたちには身につけてほしいなと思います。
>それは、科学の分野だけでなく、人生においても大切なことだと思います。
>「なぜ、そんなことがわかったんですか?」という問いを発する子どもと出会うとうれしいですね
ようしろうさんのコメントに強く共感いたしました。

このエントリ時に,あまりにも寸断されていた「地球」や「宇宙」に関する単元の系統が,今回の改訂でずいぶんとなめらかな接続がなされるようになりました。
その要を担っていたのが,新設6年生の「月と太陽」の単元です。中学校と小学校の教員が同じグループで,科学概念の系統をとことん話し合うことが出来ました。

宇宙のスケールの広大さを実感するための教材開発や学習課程。観察者の視点の推移。様々な観点を検討いたしました。

ようしろうさん,とてもすばらしいお仕事に就かれているんですね。
また,SFもサイト掲載されていて,SFファンの私としては,これからもいろいろと教えて頂きたいなと思いました。よろしくお願いします。
Posted by とし at 2008年08月12日 11:27
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